2026年4月20日16時53分に三陸沖で最大震度5強となるM7.7の地震が発生しました。この地震では北海道太平洋沿岸中部 青森県太平洋沿岸 岩手県に津波警報が発令され、久慈港で最大80cmの津波が観測されました。この地震を受けて、内閣府と気象庁では新たな⼤規模地震の発生可能性が平常時と比べて相対的に高まっているとして、「北海道・三陸沖後発地震注意情報」が発表され、日頃からの地震への備えの再確認等を実施するように呼び掛けています。この地震で被災された方々には謹んでお見舞い申し上げます。
地震後に公開された防災科学技術研究所のK-NET・KiK-netの強震観測点、気象庁(JMA)の震度観測点の加速度波形データを収集し、震度5弱以上の揺れを記録した以下の5地点の波形データを調査しました。
・K-NET八戸
・KiK-net新郷
・K-NET北上
・KiK-net玉山
・JMA涌谷町新町裏
上図は震央と5地点との位置関係、下表には3成分の加速度波形から算定した地点ごとの最大加速度、最大速度、計測震度の一覧、下図には地点ごとの3成分の加速度波形の一覧、同じく速度波形の一覧、地点ごとの水平成分の擬似速度応答スペクトルを告示スペクトルともに示しています。これらの算定値は波形データから弊社独自で算出しているため、公開値とはずれが生じる場合もありますので、その点ご了承ください。
表 3成分の加速度波形から算定した地点ごとの最大加速度、最大速度、計測震度の一覧


図 5地点の3成分の加速度波形一覧

図 5地点の3成分の速度波形一覧

図 5地点の水平成分の擬似速度応答スペクトル一覧
これらの調査結果の特徴をまとめると以下の通りです。
・5地点の波形から算定された計測震度は最も大きい値がKiK-net玉山の5.1(震度5強)、最も小さい値がK-NET八戸の4.5(震度5弱)であった。
・最大加速度は最も大きい成分の値で最大はKiK-net玉山のNS成分の約400galであった。
・同じく最大速度は最大がJMA涌谷町新町裏のEW成分の14.7kineであった。
・5地点の最大加速度、最大速度、計測震度の大小関係はそれぞれ異なっていた。
・JMA涌谷町新町裏の速度波形は他の地点と比較すると周期1~2秒程度のやや周期の長いゆらゆらとした波が卓越していた。
・水平動の周期別の地震動レベルの指標となる5地点の擬似速度応答スペクトルに着目すると、ピークとなる周期は地点ごとに異なっていた。5地点の中でKiK-net玉山は最も短周期で約0.2秒、逆にMA涌谷町新町裏は最も長周期で約1.5秒でピークとなっていた。
・5地点の擬似速度応答スペクトルと建設省告示スペクトルの極めて稀のレベルとの比較において、ピークとなるKiK-net玉山の周期0.2秒前後で超過し、JMA涌谷町新町裏の周期1.5秒で超過していた。それ以外は概ね建設省告示スペクトルの稀~極めて稀の間のレベルか、稀のレベルを下回っていた。
・気象庁の長周期地震動階級によるとJMA涌谷町新町裏は階級3であった。気象庁による長周期地震動階級は周期1.6~7.8秒の絶対加速度応答スペクトルSvaの最大値に基づいて算定しているが、擬似速度応答スペクトルpSvの周期1.6~7.8秒の最大値は周期1.6秒で約95kineとなり、pSvの判定でも階級3相当となった。
これらの地点ではいずれも震度5弱~5強ということで全壊などの大きな物的被害は発生しないと想定されますが、JMA涌谷町新町裏では建物被害に影響が大きい周期1~2秒の波が卓越しているので、耐力が低い家屋は若干の損傷を受ける可能性はあるかもしれません。
謝辞
波形データは防災科学技術研究所のK-NET・KiK-netの波形データおよび気象庁の震度観測点の波形データを利用させていただきました。ここに記して謹んで御礼申し上げます。


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